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品川裕香さん しながわ・ゆか ジャーナリスト、子ども・若者を巡る教育・社会問題を異文化理解・予防的観点から取材。最新著書は日頃の講演内容を収録した『LD・ADHD・アスペルガー症候群 気になる子がわくわく育つ授業』(小学館)。本誌に掲載されていた連載も大好評でした。
2010年2月のQ&A
2010.02.26
最近、5歳の娘が「私と弟、どっちが好き?」と聞いてきます。ベストな回答はありますか?
5歳の長女が毎日毎晩「私とユウタとどっちが好き?」と聞いてきて、困っています。ユウタというのは1歳半違いの弟なのですが、最近、とにかく弟と自分を比べているようです。「ミリもユウタもどっちも好きよ」と答えると、「どっちが一番?」とさらに聞いてきます。それで「女の子ならミリが一番、男の子ならユウタが一番!」と答えると、今度は「うちではどっちが一番?」と聞いてきて......。なんて答えたらいいのか、聞かれるたびに悩んでいます。(ミリちゃんママ 27歳 兵庫県)
 弟や妹が生まれると上の子どもはママを取られたと思いがちですから、こういう質問はよくしますよね。実際、本欄にも似たようなご質問をよく承ります。この問いに対して「○○と答えるべき」という正解はないと思っています。というのも、子どもがこういうことを尋ねてくるときは、なんらかの不安や寂しさ、孤独、焦り、苛立ちなどといったネガティブな思いを抱えていることが多い、と取材を通していつも痛感するからです。
 たとえばここで「本当はママはあなたが一番好き。でもユウタくんには内緒ね」と言ったとします。それで一時的にはお嬢さんも満足し落ち着くかもしれません。ですが、その後、弟から何らかのストレスを受けたとき「ママは本当は私のことが一番好きなんだから!」と、今度は弟のほうが追い詰められるような発言をしてしまう可能性は否定できません。
 この場合、そういった発言が弟が生まれて母親の注目が弟にばかり行く寂しさから来ているのか、それとも幼稚園でいじめられているなど何かほかの理由があるのか、まずそこを見極める必要がありそうです。それと同時に、この発言に対する返事として、すぐにでも「ユウタ抜きのママとミリだけの時間」を1日15分でいいので作ってください。その時間のときは、完全に2人だけの時間。ここでユウタくんが泣いて、ママが「ちょっと見てくるね」と言ってしまったら「なんだ、やっぱりママはユウタのほうがいいんだ。口だけだ」となってしまいます。毎日が無理なら、週に丸1日は弟をパパやおばあちゃんに頼んで「ママとミリだけの日」を作るなど、その時間をどうやって確保するかが、知恵の絞りどころです。
2010.02.18
小2の娘は、本当に落ち着きがなく、道路に飛び出したりします。これっていわゆるADHD?
小学2年生の娘が一向に落ち着く様子がないんです。授業中に立ち歩くというわけではないのですが、道路をぐるぐる走り回ったり、車が来ているのに何か興味があるものを見つけると一目散に走りだしたり。危ないと言ってもちっとも親の言うことを聞きません。学校の先生は「元気がよく、はつらつとしていていい」と言ってくれるのですが、娘の同級生と比べるとなんでこんなに落ち着きがないのかと頭を抱えてしまいます。忘れ物も多く、今朝も教科書を食卓の上に置いたまま、学校に行ってしまいました。本人はピアニストになりたいと言っていて、練習中はとても集中しているので、集中力の問題とも思えないのです。いわゆるADHD(注意欠陥多動性障害)なのではないかと不安です。(マミちゃんママ 32歳 神奈川県)

 最近、落ち着きがなかったり注意力散漫だったり集中力がなかったり衝動的だったりする子を見ると、すぐにADHD(注意欠陥多動性障害)に結び付ける傾向があります。これは平成19年度から通常学級内にいる気になる子のニーズに応えて指導していこうという特別支援教育が始まった結果、医学モデルが教育界に広まった影響だろうと私は考えています。多動=ADHDではありませんし、集中力がなく衝動的=ADHDでもありません。安易にそういったことを口にする大人(教育者でも医療従事者でも保護者でも)によく遭遇しますが、医学診断は医者のみができると医事法には決められており、状態像からそういったラベリングをすることは誤った行為であり、子どもの真のニーズを見逃す危険な行為でもあるということを私は必ず伝えるようにしています。
 したがって、マミちゃんがADHDかどうかは私にはわかりませんし、これだけで「ADHD的である」とも思いません。
 注目すべきは、マミちゃんが車が走っている道路に飛び出すなど知らず知らずのうちに命を危険にさらしがちであることです。これは本人に言い聞かせて、飛び出さない訓練を意識的に行う必要があるでしょう。口で何度言っても、具体的に「飛び出したくなった⇒その気持ちに気がついた⇒自分で我慢した」というセルフ・モニタリング力とセルフ・コントロール力をつける必要があります。これは、がんばればなんとかなるものではありません。まずは日ごろから「今、自分はどういう気持ちなのだろう」ということを意識し、言語化する訓練から始めてみてはどうでしょうか?

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